生産者のつぶやき

ようやく我が家も平和となる。

2020年12月22日

60代のあんまと80代のばぁちゃんのバトルも

今年から60代と90代の戦いとなりました。

しかしながら、足腰は多少弱まったものの、90代となっても口と頭は一向に衰えず

更に迫力をましたかのようでした。

 

バトル1:皮むき時:60代の攻め

60代「あたまのやこいもん吊られんちゃ。良いもん畑にいっぱいあるがや。

取り切れんがいから!」「ちょっとでもヘタすいとったら吊らんといて」

90代「ちょっこぐらいいいないけ。だせなんだら、おら食べるがや!」

※彼女はいったい何千個食べるのだろうか?

 

バトル2:乾燥時:90代の攻め

90代「なんやこんなに黒い柿、おら干とる時、こんな色の柿だしたことない!」

60代「・・・・(反撃できず)地球温暖化のせいや・・・(小声)」

※誰も黒い柿にしようとおもてしとるがでないわい。

 

バトル3:出荷時:60代の攻め

60代「キズある柿、裏返しにして詰めたらあかんちゃ!小さいキズは〇で、

ちょっとふかけりゃ等外でだすがや。書いたもんようみなあかんちゃ!」

90代「書いたもんの字ちいさて読めるわけないやろ。」

※ヘタスキはここ3年間言い続けた結果さすがに入らんようになりましたが・・・。

 

などなど、攻撃と守備を変えながら、今年も約2か月間の長期戦でしたが、

ようやく出荷をおえて、何もなかったような穏やかな日々を迎えております。

 

来年もバトルを続けられるように、ライバルが元気でいてくることを祈るばかりです。

 

宮内庁献上富山干柿選果式

2020年12月21日

毎年9月になりますと宮内庁掌典職様から当連合会に、新嘗祭用と新年諸祭典用に

富山干柿を所望されるご依頼状が届きます。

 

昭和55年に旧城端町の婦人会の皆様が皇居の清掃奉仕作業に従事した際に

皇居内でも干柿をつくられていると知り、自分たちの町も干柿の産地であることを

告げたのがご縁で、この献上が始まりました。(もしかしたら、「富山干柿は

でっかくて、甘くて、日本で一番美味しい干柿やちゃ」と宣伝いただいたのでは

ないでしょうか? その後、なんと宮内庁の職員の方が2名、当地に干柿づくりを習いに来られた

そうです。)

平成9年からは、新嘗祭ようにあんぽ柿、新年の諸祭典用に干柿を献上しています。

 

本日、今年の献上干柿の選果式がおこなわれました。

マスコミの方も数社取材に来られ、北島会長が慎重に選果しました。

さすがに、献上柿です。200個の中から20個を選果するのですが、

どの柿も、我が家の納屋では見たこともない柿です。

色合いが全く違います。ほんのりと白い果糖が表明にあらわれ、なんとも言えない

飴色です。あと10年修行してもこの域には達せられません。

 

「あ~、自分の干柿はスーパーに並ぶのが精いっぱいのところかな・・・。」

とつぶやきではなく、出るのはため息ばかりなりけり でした。

 

 

 

最近の出荷場での会話

2020年12月20日

「どーや、はかいった」

「あと3台や」

 

「はかいった」の標準語は「はかどった」

「あと3台」の意味は「柿を吊るしている台車の数」です。

 

その続きの会話は

「今年は正月前に終わりそうや」です。

干柿農家にとって、柿の出荷が年内に終わり、正月はのんびり過ごしたいというのが理想です。

 

あと0台になるまで、まだまだ夜なべは続くのでした。

 

 

本日は出荷のピークです。

2020年12月15日

12月1日から、富山干柿の集荷が始まりました。

本日は12月に入り二回目の日曜日で、

出荷される農家の皆さんの車が大行列となりました。

 

組合の駐車場では並びきれず、お隣の自動車学校の方まで、

最大20台の順番待ちで、本日が出荷のピークと思われ,

本日の総出荷数は237,302個でした。

 

順番待ちをしている間

「こっで、半分以上だしたぞ。」

「いいなぁ~、おらまだ半分いかんちゃ。」

「うちは、あとヘタスキと花だけや~。」

「はかいったちゃ~。おら、ここ何日も新聞もテレビも見とらんちゃよ!」

などなど……。

 

最近の農家で、「あさい前」とか「夜なべ」とかいう言葉は死語となりましたが、

干柿農家だけは、いまだにこの言葉が使われています。

 

ただ、いいこともあります。家と納屋と出荷組合しかいかないので

コロナ感染の心配が殆どゼロだということです。

(たまには、たばこ買いにコンビニに行きますけど)

 

「あ~ やっとられんちゃ!」と言いながらも、あと半月頑張る人たちでした。

 

 

 

干柿作業でお疲れの皆様へ(今年初のつぶやきです。)

2020年12月8日

樹園地の所々に赤い柿玉の花が咲く今日この頃ですが、

生産者の皆様いかがお過ごしでしょうか。

「でかいとなって、取り切れなんだ。」

「途中天気が良かったさかい、ただ干せるおもとったけど、

台車多すぎて乾燥はかいかん。」などなど。

肩痛い、首痛い、腰痛い、ねぶたいなどお疲れのことと思います。

 

そこで、元気のでる絵手紙(ハガキ)です。東京にお住まいの方からです。

先日、近くのスーパーで貴社の商品を見つけ購入いたしました。富山産の干柿はあまり

みかけないので、ただ、好奇心で手にとりました。でも、食べてびっくり!

「こんなにおいしかったんだ!」と思わず夫に言いました。

以前とは全く違った世の中(コロナ禍)で、こんなにおいしい干柿が食べられるなんて、

しあわせー。としみじみ感じました。

「食べ、飲み、一生懸命働く充実感。人にとってこれ以上の幸せはない。」

以前、読んだ言葉を思い出しました。これも、皆様一人ひとりの献身的な働きがあればこそ

素晴らしい味が楽しめるのです。

これからも皆様、お体を大切になさり頑張ってくださいますように…。感謝の思いを込めて。

 

疲れがたまっている生産者の皆さん。私たちの干柿を楽しみにしている方が全国に

いらっしゃるのです。もうひと踏ん張り!頑張りましょう!

 

こたつにはみかん。渋いお茶には干柿。そして、冬には雪・・・。

2019年12月23日

本来なら、あたり一面雪景色のはずなのですが。

大麦が元気に育つ水田に医王山の山並みです。

天気予報を見ても年内に☃マークはありません。元旦は一日☃マークですが・・・。

どうやら南砺市の平野部は雪国と言えなくなったのでしょうか?

 

雪が積もり、こたつに入ってみかんを食べながらテレビを見る。

そして、渋いお茶をいただきながら、甘~い甘ーい富山干柿を食べる。

これが、冬の定番だったのですが・・・。

 

年末商戦に入り、富山干柿の売れ行きが心配になる今日この頃です。

今年はゆっくりと正月を迎えられそう・・・。

2019年12月20日

昨日12月19日は第2回目の出荷プール最終日でした。

出荷待ちの生産者の方にお話しを伺うと、例年、年末年始の集荷お休みの

間にも、1月5日、6日の最終集荷日に間に合わせるため、休み返上で出荷作業を

しなければならない方も多いのですが、今年は多くの方が年内最終集荷の28日までに

出荷終了するという方が殆どでした。

今年は、皮むき終了時で前年より1割程度球数が少なかったのですが、乾燥工程で

ヘタスキとなり出荷できなくなったものが多発し、正規品で集荷できなくなったことも

大きく影響したようです。

「今年はゆっくりと年末年始おくれるちゃー」と

「でも、入るもん入らなんだら、ゆっくりできても、

かたいもんになっとらんなんちゃ。」の声も・・・・・!

干柿は加工食品です。

2019年12月10日

今年はいわゆる「ヘタスキ」と呼ばれるヘタと柿の実が離れて、隙間や穴があいて

しまった干柿が、乾燥過程で多くできてしまいました。

このヘタスキを上品の干柿と区別せずに出荷される方が見受けられ、検査窓口で

トラブルが生じています。

 

言い分としては、「ちょっこぐらいヘタすいとったってどうある。味もなんかわらんないか!」

「野菜かって、多少まがっとったて売っとるないか!などなど。

しかしながら、干柿は加工食品です。野菜と違います。

加工している以上様々な規制、基準がかかります。

賞味期限はもとより、内容表示としての原材料、添加物、原産地、

重量表示、栄養表示など、消費者の皆さんが手に取って分かる食品表示を添付しなければいけません。

 

例えば、加工していない「お米」と違って、「せんべい」は加工商品なので販売するときは、

先の商品表示の徹底が義務付けられます。

 

分かりやすくいいますと、食品表示とか難しいことを言わなくても、「かけたせんべい」や

「われたせんべい」を「上品のせんべい」として、混ぜて売っている会社はありません。

「かけたせんべい」や「われたせんべい」は、「われせんべい」として訳アリで安く売っています。

味はどちらも一緒ですが・・・。

 

「へたすき」も「われせんべい」と一緒です。味は似ていても、品質が大きく違います。

分けて売らなければなりません。

 

ひと昔まえは、食品表示も今ほど厳しくありませんでした。

消費者の皆さんも今ほど、厳しい目線ではありませんでした。

 

昔は昔、今は今です。ルールを守った「今の出荷」をお願いいたします。

 

 

弱小干柿生産者のあこがれ・夢・・・。

2019年12月8日

かつて、600万個を超える出荷量があった時代。干柿生産者は400名を超えていたと聞きます。

現在の出荷量は、半減の300万個あまり。生産者は170名余りとなりました。

その数字から、一農家の平均の出荷量は2万個弱。生産者の平均年齢は70歳を超えています。

また、干柿を「なりわい」とするには、最低でも5万個以上の出荷量が必要かと。

 

必然的に、干柿生産は兼業農家の副業か、年金世代のお仕事にならざるを得ません。

現在、新規就農制度で若い方が3名、研修に来られていますが、

作業場、乾燥機械、高所作業車、防除機、草刈り機などなど、干柿づくりには、多額の設備投資が必要

となりますから、

廃業された方の施設と機械をそっくり、安値で譲りうけるか、賃貸しないかぎり就農は難しい状況です。

60代とうちゃんとしても、あと10年できるかどうか・・・。

後継者がいないため、新たな設備投資も難しく・・・。(あんまは金沢で所帯もったし・・)

 

そんなこんなで、弱小高齢者の干柿農家としての自分のあこがれ、夢は、

「いつかは自分の干柿が、銀座千疋屋のお店に並ぶこと」

毎年、300万個の中から選りすぐりの干柿1万個余りが、千疋屋さんに送られています。

当然、自分の干柿はいまだかつて、候補にすら上がっていません。

(宮内庁ご用達干柿はさらに厳しく、180個)

 

中には、「出せばいいがや。」という生産者の方もいらっしゃいますが、

年金+アルファ干柿の自分としては、伝統ある富山干柿の生産者の矜持として

「味・いろ・柔らかさの三拍子そろった干柿」をつくり、千疋屋さんに送られる日を夢見て

あと10年は精進したいと思っています。(そんな日はこんやろけどなぁ~)

 

80代ばあちゃんVS60代父ちゃんに、60代嫁の一言

2019年12月6日

干柿で一番難しいのが、「乾燥工程」です。

昨今は、天日干しではなく、電気、ガス、灯油などによる機械乾燥と昔ながらの練炭乾燥で仕上げます。

いずれにしても、乾燥するのは柿の表面で、「①表面を乾燥させる」→「②内部から水分が出て表面が湿る」

→「③再度、表面を乾燥させる」この工程の繰り返しを行うながら、途中、「二度の手もみ」を入れて、仕

上げていく訳です。この工程を台車ごとに入れ替えをして行います。多い方は台車が30台~40台あります。

この②と③の間が問題で、ちょっと、台車の順番待ち等で②と③の間が長くなると、水分が戻り過ぎて、いく

ら乾燥させても、柿の色が「黒っぽく」なってしまうのです。

 

こうなると、80代ばあちゃんが黙っていません。「あんないい色したったがに、何け、こんなに黒し

て!」、60代父ちゃんも、「わかっとるちゃ。したて黒したがでないわい!」と対抗・・・。

血のつながりは強いもので、遠慮も配慮もありません。「いさかい」です。

 

60代嫁は、この「いさかい」に、「いつものことや」と我関せずなのですが、ついに一言

「柿かって聞いとるがよ、黒い黒い言うたらあかんちゃ。子供育てるがと一緒。いい子やいい子や言うてほめ

て育てたら、ほんまにいい子になるが。柿にも、いいがになったねー!おいしそうやねー。言うてあげるが。

そうしたらいい柿になるがや・・・・・!」

 

80代ばあちゃんと60代父ちゃんは、これを聞いて沈黙・・・・・。

以来、我が家では、「黒い、黒なった」は禁句に。台車の柿をみたら「うんまそうになったなあ~」を連呼。

こころなしか、黒ならんような気が・・・・・。