生産者のつぶやき

80代(おばあちゃん)VS60代(お父さん) もったいないVS効率化

2018年12月21日

2万個以下の生産農家は干柿の乾燥・出荷作業のほとんどを家族で行っています。

特に、どの家も80歳前後のおばあちゃんが元気で頑張っていらっしゃいます。

 

皮を向いて糸で吊るす時や乾燥途中の一番ひねり、2番ひねり(ひねりとは柿を手もみすること)

の時に、乾燥不良の柿、キズの大きい柿やヘタスキ(へたの部分が少し空いてしまった柿)を

50~60代のお父さんは商品にならないので捨てようとします。

その時、おばあちゃんが、「捨てられん!もったいない!」との声。

「とっといても、出荷できんもん。こんなでかいと自分で食べるがけ!」とお父さん。

 

戦中、戦後のもののない時代を生き抜いてきたおばあちゃんは、すべてにおいて

「もったいない」の精神が根付いています。(真宗王国の影響も大きかと・・・。)

一方、無駄を省いて、質のいい干柿を効率的に出荷しようと思っていいるお父さんは

柿取り、皮むき、乾燥の各工程において、出荷できない柿に手をかけるのは非効率の極みと

思っています。

 

なかなか二人のあいだに折り合いはつきません。

最後におばあちゃんが、「捨てたりしたらバチ当たって来年、柿ひとつもならんわ」と!

しかたなく、お父さんは廃棄せず、そのままにして作業を続けるのです。

でも、お父さんは思っています。「来年の春になったら、段ボール箱にいっぱいたまっている

くず柿を毎年畑に捨てに行っているのになぁ~。」と。