生産者のつぶやき

干柿農家の 家族会話の流れ

2021年12月4日

干柿農家にもいろいろあります。

10万個以上出荷される農家は、たくさんの従業員を雇われて工場のように流れ

作業で、手もみ・糸切り・トレイづめ・出荷と進みます。

しかし、多くの2万個以下の農家は家族労働で出荷に当たります。

干柿農家は、毎日の仕事によりだんだん疲労がたまってきます。

 

干柿作りの始めは『ぼやき』です。

ばあちゃんと嫁さんは、「あ~あ、なんで干柿農家に嫁にきたがいろ。だまされたわ。」

あんちゃんは、「会社で仕事してきて、なんで夜なべで干柿せんなん・・。」

じいちゃんは、「うんまいこと(上手に)干せんもん(乾燥することができない)。

 

それが重なり終盤にさしかかったこの頃になると『無口』になるのです。

なぜなら、しゃべると「いさかい」が始まるからです。

富山弁の「いさかい」とは「けんか」のことです。

疲れがたまると、人を怒りっぽくします。上手くいかないことを、人のせいにしたくなるのです。

「こんな色の悪い干柿にして」「キズ柿をトレイに並べたらあかんちゃ」

「段取りわるいな。こんなことしとったら、いつ終わるがけ」

「毎年毎年おんなじ失敗して、だらんないけ(馬鹿じゃないの)

 

口に出したら『いさかい』です。

ですから、みんな無口になって、出荷終了を目指して、黙々と仕事に励むのです。

干柿農家の家族は、

『ぼやき』→『無口』→『いさかい』

終わると→『とっても仲良い家族』になります。